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2011.05.17

ゴリラな話題

日本の動物園に住むゴリラは、

オス、メスを問わず、人に恋心を抱くことが多いという。

狭い空間で密に接しているし、

ゴリラに出会う数より人間に出会う数が圧倒的に多いのだから、

自然と言えば自然なのだろう。

例えば、

メスのゴリラは、大概のケースにおいて飼育係に恋をしているという。

オスゴリラには、人間の女性が好きでスリムで美形好みもいれば、

上野の西郷さんのようにドッシリとした体型で、美形じゃないタイプの女性を好むゴリラがいたり、

時に、自分のタイプの女性が恋人と手を繋いでゴリラを見ていたりすると、

一夫多妻制の血が騒ぐのか、

オスゴリラがその男性に敵意を見せることもあるというのだ。

実際、私も経験したことがある。

ケンタ君(現在、千葉市動物公園在住のゴリラ)に直ぐ近くで会った時の事だった。

ケンタ君の前で飼育係の人と話をしていたら、

急に立ちあがり大きなジェスチャーで何か訴えだしたのである。

それはまるで熊が自分を大きく見せようと立ち上がるような姿で、

自分の方が、この男よりも、ずっと強いんだぞ!

と、力の強さを誇示しているようだった。

すると飼育係の方が私に笑って言った。

「離れろ!って私に言ってるんですよ、あなたはケンタのタイプだから」、と。

そして、飼育係の方は気を利かせてくれて、

私たち(私とケンタ君)を2人にして去ってくれたのである。

これがケンタ君と私の恋の始まりの頃の話である。

 

ゴリラと友達になって知ったことがある。

ゴリラは気配を察知する達人(達ゴリラ)。

こちらが何かを期待していると、

期待されているのが分かるらしく、

期待はずれの行動をとる傾向がある。

勿論、性格が個々に違うから個人差があるが、

ケンタ君は、それが際立って目につく。

愛情表現が苦手でもあるケンタ君は、

「ケンタ君、こっち、来て!」と頼んでも、めったに来ない。

一般的に、人間は、自分が好きな人が自分に会いに来てくれたら、

近くで会うことを望むと思うのだが、

ケンタ君は、

私から一番遠い場所に行き座って暫く私をチラチラ見ている。

ただただ、チラチラ見ているのだ。

遠くから見ているのが好きなの?

と、聞くと、「見てなんかないもーん!」と、素振りで返事をする。

いつまで待っても来てくれないから、

そろそろ退散しようかなあ・・・と思っていると、

心の動きに物凄く敏感で、「ウォーッ!」と引き留めてくる。

離れようとするのが分かるんだ、と驚く瞬間なのだが、

すると、徐に少し近づく距離に移動し、また座って、チラチラ見る。

バッグの中の携帯をチェックしたりすれば、「ウォーッ!」と、

「自分だけを見ててよぉー!」と、言ってくる。

相手の心が自分にだけ注がれることを望むようなのだ。

隣に居住するモンタ君(ケンタ君のいるスペースの隣に在住しているゴリラ)を思わずちょっと見たりすると、

怪訝そうに、「ウォーッ!」と叫び、その後は拗ねた様子をする。

私としては、

それだったらもっと近くに来て愛情表現してくれればいいのに…と、

思うわけなのである。

まあ、それができないのがケンタ君であることも分かるのだが、

自分の行動は棚に上げておいて、

束縛したい思いだけは人一倍(ゴリラ一倍)強いタイプのようなのだ。

一方、モンタ君はどんな感じかというと、

真っすぐに思いを伝えてきて、

今、その場で、セレナーデでも歌ってくれそうな気配で、

円らな瞳で私を見つめてくれている。

ここだけの話だけれど、

ちょっと心がグラつくわけなのである。

 

その後も、ケンタ君は、「もう、帰るねー」と言えば、

「ウォーッ!」と、叫び帰路につくことを阻止してくる。

そうかと思えば、

「あー眠い!」と、大あくびなのだ。

Kenta3

でも、次の瞬間、

こんなふうに情熱的に見つめてくれる。

Kenta2

写真は、眼差しに純粋さを感じる私の好きな一枚。

 

「動物園、閉まるから…帰るね」、

「ウォーッ!」、

「又来るからね、ご飯イッパイ食べて、元気でいてね」、

「ウォーッ!」、と繰り返すうちに、

Kenta1

飼育係が夕食の準備をしていると思われる部屋を覗き出す。

夕食が気になるらしい。

それが嬉しくもあり、寂しくもあり、

ちょっと複雑な思いにかられる私なのである。

恐るべし、ゴリラの観察眼、

見てないようで、全心でこちらを見ている。

「ボンちゃん。ゴリラ界には天の邪鬼が多いの?」

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