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2011.07.29

記憶…赤ちゃん

赤ちゃんは、

産道を通過した記憶を消してしまうのではないか?

という憶測話を数日前に綴ったが、

人は、いつから記憶を持つのだろうか?

私の古い記憶を母に話したところ、

その出来事は私が8ヶ月の時であったことが判明した。

ということで、

私には8ヶ月時の記憶がある。

 

私は、今でもあの不快感を覚えている。

穏やかに眠ろうとしているのに、

誰かが私の足に、

ザラザラとモゾモゾとしたような、

正体不明の何かをのせるのである。

ものすごく嫌で、

必死に両足を駆使して蹴って退けたのだが、

すぐさま、それらはまた私の足の上にのせられた。

私は負けずに、そのザラザラモゾモゾを蹴り続けた。

こんなに嫌がっているというのに…なぜこんな仕打ちを…。
それにしても、しつこい。やめてくれーっ!

と、心の底から思った。

私は戦いを挑まれているような気がした。

絶対に負けるものかと思って、必死に蹴った。

この不愉快い極まりない状態を何とかしなければ・・・、

そう思って闘い続けた。

側にいる誰かは、

必死になってザラザラモゾモゾを蹴る私の姿を見て、

笑っていて、楽しんでいるように思えた。

それが悔しくて、たまらなかった。

やっとのことで、

ザラザラモゾモゾを退かすことに成功したと思った私は、

これで眠れる…と眠りに落ちていったのを覚えている。

 

これが私の最も古い記憶である。

母の説明によれば、

その誰かは母で、季節は真冬。

私はベビーベッドで目を閉じて眠っているように見えたという。

すぐに布団を剥いでしまう私の足は冷たくなっていて、

風邪をひかないようにと思って布団をかけ直すと、

布団が足に触れなくなるまで必死に布団を蹴っ飛ばしていたらしい。

 

母の説明と私の記憶にはズレがなかったが、

あの時、私は眠ってはいなかった。

自分の年齢が8ヶ月だということも、

ベビーベッドの中で目を閉じていたことも知らなかった。

近くにいる誰かが母であることも、

心配してくれて、

最後まで見放すことなく守ってくれたことも分かっていなかった。

 

結局、母と私の布団闘争にどう幕が下りたかというと、

足首から下に布団がかからなければ、

布団蹴っ飛ばし活動が生じなくなることに母が気付き、

足首から足先に布団がのらないように布団をかけ、

一件落着したという。

あの時、母が私に呆れて放置していたら、

風邪をひき、

今、こうしてこの世にいることは叶わなかったのかもしれない。

 

まさに、「親の心、子知らず」。

 

「ボンちゃん。ゴリラは生れた時の記憶からある?」

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