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2011.10.16

『冴ゆる風』 

もうすぐ秋も終わるのだろう。

冴ゆる風が秋に紛れ込んできたから。

詩をつくってみた。

 

 

 

『冴ゆる風』 

 

 

薄青い冷えた風が窓から入ってきた

寄せては引く静かな波に似たリズムで

ノスタルジックに白い薔薇のカーテンを揺さぶっている

冴ゆる風が秋の限りに交じって

まるで無機質なものを目覚めさせているかのよう

命を感じなかったカーテンに

表情がうまれていく不思議

白い薔薇の模様が

時に淡い恋心をひた隠しにする少女のように

しなやかに楚々としだす

カーテンのひだが

時に恋慕の情を強く寄せる女性のように

抑えきれない情熱を激しくうねらせ

未来を夢みているよう

 

風はカーテンを愛撫しながら

次第に温度を下げていった

時を忘れて見惚れていたわたしの手足は

冷たくなっていた

そぞろ寒さに窓ガラスを閉めた途端

カーテンは無機質な世界に舞い戻ってしまった

白い薔薇からは熱愛の色が消え

元のわざとらしい品位に戻っていた

カーテンを握りしめると

黙りきった情熱の

ひんやりとした残り香が指にからんできた

魂はもぬけていた

 

 

 

「ボンちゃん。シルバーバックは冴ゆる風が吹きだす頃、何を思うのかな?」

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